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【ECの顔 #02〜食品編】「ZENB」菅野さん、川合さんインタビュー

「実際みんな、どうやってEC運営してる?」

専門用語が並んだ記事はいっぱいあるけれど、個人でECを立ち上げた人や、会社内でECを担当している人、現場環境の人がどうやっているのかは、意外と知られる機会の少ないECのお仕事。

そんなECのお仕事を、ネットショップの顔でもある、EC担当の方々の体験談を通して知ってもらうべく、”等身大のECカルチャー”をコンセプトとしたインタビュー企画、「ECの顔」を連載中。

第2回目は”食品編”。豆100%ヌードルが人気のブランド・ZENB(ゼンブ)で、EC運営を担当されている菅野真史(すげの・まさふみ)さん、川合路瑠(かわい・みちる)さんに、お話を伺いました。

ZENB 菅野さん(左)、川合さん(右)

ミツカンの新たな食プロジェクト「ZENB」

ZENBのオンラインストア。豆100%のZENBヌードルが人気

はじめに、ZENBがどんなプロジェクトなのか、お伺い出来ますか?

川合:ミツカンが10年後、20年後を見据えたときにどうあるべきかを考えた、”未来ビジョン宣言”というのがあるんですね。それを体現する食のブランドとして生まれたのが「ZENB」です。

はじめは、まるごとの野菜をペーストにした「ZENB PASTE(ゼンブペースト)」や、まるごとの野菜に雑穀・ナッツを加えたスティック「ZENB STICK(ゼンブスティック)」から発売をスタートしました。

中でもこのペーストは、実は野菜とオリーブオイルしか使ってないんです。ZENBの商品は、どれも添加物でおいしさを表現するのではなく、素材本来のおいしさをお届けするために、厳選した素材を使い、動物性原料なども不使用です。

野菜を芯までまるごと使った濃厚ペースト。パンや様々な料理に使える

また野菜も、普段は捨てられてしまう野菜の皮や芯までまるごと使うことで、栄養もたっぷり摂れ、さらにはフードロスにも貢献することができます。そんな、環境、社会、人のカラダにも配慮した商品を提供したいという想いから、ZENBは始まりました。

従来ミツカンでは、スーパーなどに商品を卸して販売するタイプなのですが、ZENBはECサイトのみで販売をしています。

”食品”を扱うECとしてこだわっていること

-”食品”を扱うECとして、こだわっているポイントはありますか?

川合:やっぱり「おいしさを表現する」ところじゃないですかね。どんなにカラダにやさしいものでも、おいしくなければ食べ続けられないので、『おいしい』と『カラダにいい』を両立することが、ZENBとして大事にしていることです。

でも、実店舗がないZENBでは、食べたことがない人にまず「食べたい!」「おいしそう!」と思ってもらうことが大事です。まず、おいしさを「シズル感」で。そして、カラダにいい機能性のポイントを、コピーでわかりやすく伝えるようにしています。

-商品ページでも調理アレンジのUGC投稿や動画があり、完成図が一目でわかったので、とてもインパクトが強かったです。

ZENBでシステムを担当されている菅野さん

菅野:豆麺ってみなさんはじめてだと思うので、UGC投稿含めて、こんな風にアレンジして食べられるっていうのをわかってもらうようにするのは、意識しているところです。

商品ページには、消費者がSNSに投稿したアレンジレシピが並ぶ

-豆100%の麺は食べたことのないお客さんも多いと思いますが、未体験の味をECで購入してもらうというハードルを、どうやって超えられましたか?

川合:超えるためにこちらが何かやったというよりは、お客さんがInstagramやYouTubeとかで、「この麺とってもおいしい」って言ってくれて、それを見てくれた人が波及していった印象です。

自社でやった取り組みとしては、ZENBの料理投稿をあげてくれているお客さんへ、DMでレシピ化のお願いをして、サイトにUGCレシピを上げていく形にしました。それをZENBの公式SNSで投稿して、お客さんが「公式で紹介された!」と、また自分の投稿をアップしてくれる、といった、UGC投稿が増えるサイクルを作りました。

サイトに掲載されているUGCレシピだけでも、既に100件を超える

スタートアップ級のPDCAサイクルの速さ

ZENBでコンテンツ設計を担当されている川合さん

-他チームとの連携も含めて、ECを上手に運営するコツはありますか?

川合:社内の立場から見てもすごいなと思うのは、毎週施策や進捗確認を、社長や役員などの経営陣レベルで議論をしている点。実施した施策結果、次の施策方向について、その場で決裁をもらうサイクルを、週単位でやっていることですかね。

-月次じゃないんですね…!その分、決裁は断然早くなりますね。

川合:スピード感はすごくあります。あとは、52週マーケティングの施策を関係者全員が見られるように可視化しているので、次にこの打ち手が来るっていうのを確認して、自分の仕事に反映していけるようにしているのも、大きいんじゃないかなと思います。

-すごいですね。ミツカンさんの規模感でそういう体制が取れるのは。

菅野:気分的にはスタートアップかもしれませんね。ちょっと施策が失敗したら事業が頓挫してしまうんじゃないかと、そのくらいの危機感をみんなが持っているので。昨日の売上が極端に減ったら今すぐ立て直そうという感じで、一丸になって動いてますね。

ECで定期的にお客さんの声を拾うには

-対面でない分、ECではお客さんの反応が見えにくいですが、お二人はどこに対してモチベーションを感じられますか?

川合:対面はなくても、お客さんの声を拾う工夫はしています。そのひとつが、菅野さんが導入してくれたNPS(顧客ロイヤルティを測る指標)。導入時は回答してくれる人は少ないんじゃないかと思っていたのが、回答してくれるだけじゃなくて、フリーコメントも書いてくれるので、そのコメントが見られるっていうのも結構大きいかなと思います。

NPS調査アンケート。0〜10のランクで計測するほか、フリーコメントの記入欄も

-コメントを記入される方は多いですか?

菅野:点数を付けて回答するタイプなんですけど、みなさんコメント欄をびっしり書いて下さっていて。良いことも悪いことも、みなさんリアクションしてくださるので、それはモチベーションに繋がりますね。

川合:お客さんにZOOMでのインタビューというのも、定期的にやっています。たくさん買ってくれている人、買うのを止めてしまった人、お客さんへのインタビューを通じて、実際どういうところに満足してくれていて、どういうところが引っかかっているのかをヒアリングしています。

通販ではありますが、お客さんの声を積極的に聞くようにしているので、インタビューを通して、実施した施策についてお客さんから良かったねと言ってもらえて、モチベーションに繋がることもあるし、逆に改善点も見つけられたりします。

リピートを狙うなら、初回の購入体験を大切に

-ZENBで購入した際、商品を使ったレシピが同封されておりましたが、こういったハード面の施策は、今までも実施されていたのでしょうか?

菅野:今の形でのレシピを同封するようになったのは最近ですね。以前は、商品の特長とかレシピを1冊にまとめた冊子を一緒にお届けしたのですが、調理を失敗してしまったという声や、使いきれなくて余っちゃうとかが実際あって。なので今は、おすすめの作り方を分かりやすく伝えるために、鉄板レシピを同梱するようにしています。

届いた商品の調理方法が一目で分かるレシピ。裏面には行程別に写真が並ぶ

川合:当初の冊子は原材料の特長とか、こちらが伝えたいものを詰め込んだ感じだったんです。一方で、NPSのコメントを見ていた時に、「麺がくっつく」とか「失敗した」といったコメントもあって。せっかく色んなハードルを経てうちの商品を買ってくれたのに、最初の一回で挫折されてしまうのは、すごいもったいないなと思いました。

そこで、「絶対においしく食べれる」「誰でも失敗しない」ように作れたら、またリピートしてくれるんじゃないかと思ったので、材料を少なく、冷蔵庫に入っている材料で作れるようにして、ビジュアル的にも次の工程で何をすればいいか、一目で分かるようにしました。

個人的に面白いと思うECサイト


-個人的に「ここ面白いな」って思うECサイトはありますか?

川合:これをやったらいいんだろうなっていう事例を多く知りたくて、どこか特定のサイトというよりは、売上の高いECサイトをよく見ているかもしれないです。

例えば、食品のシズル感の出し方であれば「Oisix」さんとか。みずみずしさを感じる野菜の写真とか、タレひとつ提案するにも、ソースをかけた料理と一緒にタレを置いた写真を入れるなど、色々な工夫をされているなと。

一方でキャンペーンや導線配置を参考にする時は、別のサイトを見るといった風に、各社どういうコンテンツの置き方をしているんだろう、っていう目線で見ています。

-菅野さんはいかがですか?

菅野:ビールが好きなので、クラフトビールのサイトをいっぱい見るんですけど、唯一自分が今続けているサブスクがあって。それが「OTOMONI」っていうクラフトビールのECサイトなんです。そこは、定期的にクラフトビールを届けるサブスクがあるんですけど、毎回違うビールが届くようになっていて、続けていて絶対飽きないんですよ。だから特にやめる理由もなくて。

サブスクって、お届け日変更やスキップ、解約とか、気にするポイントが多くあると思うんです。それがシンプルで操作しやすくて、ちょっと余ってきたらスキップしたりとか。サブスクの究極系じゃないですけど、もうこれずっと永遠続けてられるなって思って、自分としては好きなサービスですね。

-サブスクの場合、”続いている”ということが勝ちですよね。

菅野:そうなんですよね。マイアカウントの中もすごいシンプルで操作感も良くて。何回か解約しているんですけど、解約する時も引き止めとかもなくて。

川合:解約してるんですね(笑)

菅野:そう(笑)でも解約してちょっと経つと、「やっぱり欲しいな」って思ってきて。それを2回くらい繰り返していて。気軽に止めれて、気軽に再開出来るって、Netfrixとかも最近そういう感じに変わってきてると思うんですけど、うまく世の中のサブスクのトレンドを捉えているなと思って、使っています。

-最後になりますが、記事をご覧頂いているみなさんへ向けて、ZENBの商品で最初にお試し頂くとしたら、何がおすすめですか?

川合:ZENBヌードルですね!

菅野:細麺タイプもあるんですけど、そうめんにもすごい合うので、夏の季節には良いんじゃないかと思います。

川合:(そうめんと比べて)糖質も48%オフなんですよ。そうめんって意外とお客さんの声を見ていると、グルテンが気になるとか、糖質が高いとか。手軽に食べれるけど、意外と栄養がないとか。でも、ZENBヌードルだったら栄養もバッチリで、糖質も48%オフなので、ぜひ食べてみてください!

[ZENBオンラインストア]

編集後記

取材時に時折出ていた、”自分達はスタートアップの感覚”という言葉の通り、週どころか日単位でも改善サイクルを回しているZENBさん。ミツカンという企業の大きさにも関わらず、ここまでクイックな行動を出来ているチーム体制に、ただただ脱帽でした。お忙しい中インタビューにご協力頂き、ありがとうございました!