ECサイトの顧客LTVを上げる施策として、昨今定期販売(サブスクリプション)モデルが非常に伸びてきています。
2022年に発表された矢野経済研究所の調査でも、サブスクリプションサービス国内市場規模は消費者支払額ベースで、6,835億2,900万円を超えるという結果が出ています。(7市場計、食品・化粧品類の定期宅配サービス分野含む)
今回の記事では、そんなサブスクリプションモデルについて、Shopifyで導入するための方法や、オススメアプリ、サブスクでの成功事例などをご紹介していきます。
サブスクリプション(定期購入)とは?
サブスクリプションとは、「サービスなどを一定期間利用することができる」形式のビジネスモデルのことです。「モノ単体を売る」という考え方ではなく、「モノを定期的に届けることで得られる体験を売る」というのがサブスクモデルの特徴と言えるでしょう。本来の意味の英語では、予約購読や定期購読を指しており、新聞などが一般的なモデルとして知られています。
サブスクリプションモデルの主な例
サブスクといえば、みなさんどんなものを思い浮かべるでしょうか?
動画見放題サービス(Amazon Prime, Netflix)や、音楽配信サービス(Spotify , Apple Music)などがサブスクの代表的な例と言えます。みなさんも、どれか使われているのではないでしょうか?
このようなサブスクサービスが台頭してくるとともに、サブスクリプションモデルに対しての関心が高まり、デジタル領域のみならず、ファッション、家電、車、食品などのデジタル以外でのサブスクリプションモデルでのサービス提供が増えていくようになりました。
通販の中でもサブスクリプションモデルの利用が広がっています。
DHCの「DHCぶっとび定期便」
サブスクモデル採用の通販で有名なのは、化粧品のDHCさんの「DHCぶっとび定期便」。
ほしい商品が通常価格より安く、定期的に届くのは嬉しいサービスですよね。
DHC公式HPより引用
「やずや」さんの定期便
サプリメントで有名なやずやさんなど老舗通販サイトでもサブスクを導入されている店舗は増えてきています。
やずや公式HPより引用
その他にも、沖縄発の大手ビールメーカー・オリオンビールや、ゆうこすさんプロデュースのLa protein(ラ・プロテイン)など、通販におけるサブスクモデルの利用は昨今さまざまなEC店舗で利用が広がっています。
サブスクリプションのメリット・デメリット
なぜ、ここまでサブスクリプションが増えているのか、企業側とユーザー側のそれぞれのメリットデメリットから考えてみましょう。
サブスクのメリット
まずは、サブスクのメリットを企業側・ユーザー側それぞれ紹介します。
企業側のメリット
- 継続的・安定的な収益があげられる
- 将来の売上見込みが立てやすく経営が安定しやすい
- 買い切り型よりも低価格で提供できるため、新規顧客獲得がしやすい
- 顧客データを集めやすく、サービス改善に役立てやすい
ユーザー側のメリット
- トライアルで無料期間などがあることが多く、自分に合っているかどうか試しやすい
- 継続的に商品購入することで、割引や特典などのメリットを得られる
- 何かを所有する必要がないので、修理などの管理が不要
企業側のデメリット
- 短期的に収益をあげづらい
- 継続的にサービス改善が必要となる
- トライアルでユーザーが辞めてしまう可能性がある
- サブスクリプションモデルを提供するためのシステム構築が必要
ユーザー側のデメリット
- 利用してもしなくても料金が発生する
- 契約していることを忘れて、使っていないのにお金を支払ってしまっていることも
- 解約してしまうとサービスが利用できなくなる
- 一定期間以上利用すると、データが溜まり解約しづらくなる
Shopifyでサブスクを導入するには
さて、ここまでは、サブスクリプションの歴史的な背景から、Shopifyの機能面などについて解説していきましたが、ここからは実際に導入するための方法についてご紹介していきます。
大きく2つの方法がありますので早速ご紹介していきたいと思います。
公式アプリでの導入
Shopifyには公式のアプリストアがあり、ここにはShopifyの審査を通った厳選されたアプリのみが掲載されています。
といってもShopifyの新しいAPIが公開されたのが2020年10月のため、選択肢は多くなく、5つ(Shopify Plus以外の方は4つ)の中から選択し、導入することになります。
- 定期購買
- PayWhirl Recurring Payments
- Bold Subscriptions
- Subscriptions by ReCharge
- Ordergroove(Shopify Plus限定)
自社でカスタムアプリを開発
システム開発になるので、自社でアプリを開発するということも可能です。
実際にやろうとした場合は、まずアーリーアクセスの申請が必要になります。
サブスクリプションAPIと商品サブスクリプションApp extensionは、アーリーアクセスを申請する必要があり、GoogleFormから申請をする必要があります。
その後、英語などのAPIリファレンスを読みながら開発していくことになります。
https://shopify.dev/tutorials/shopify-subscriptions-overview
どうしても既存アプリでは解決できない機能がある場合は、検討しても良いかとは思います。
しかし、すでに先行してアプリ開発がされていますので、ほぼ全てのShopify店舗の方に必要な機能が先ほどご紹介した5つのアプリには入っています。
その為、自社開発は選択肢としてありつつも、何か特別な理由が無い限り選ばない方が、時間もお金も有効に活用できるといえるでしょう。
Shopifyで公式アプリ導入する上での選択肢は実質4つ
先ほどアプリ名をご紹介した通り、定期購買系のアプリを導入するにあたって選択肢は実質4つしかありません。
- 定期購買
- PayWhirl Recurring Payments
- Bold Subscriptions
- Subscriptions by ReCharge
それぞれについて解説していきます。
定期購買
日本発のアプリで、日本語対応しており、日本語でカスタマーサポートがあるのも特徴の一つ。
日本特有の機能などが開発予定に入っています。
利用料
現在無料で利用が可能です。
有料化されたのちには、以下の2プランで提供されるようです。
無料プラン | スタンダード | |
月額費用 | 無料 | $49 |
手数料 | ※テストモードのみの利用可能 | 1% |
メリット
- 日本語で設定が可能
- 日本語でカスタマーサポートに連絡が出来る
- 今後の機能開発予定が公開されている
PayWhirl Recurring Payments
海外製のアプリながら、日本語対応が可能なアプリです。シンプルな機能ながら、使い勝手が良い事が特徴です。
利用料
プランは4種類あるのも特徴の一つです。
STARTER | PRO | PLUS | ULTIMATE | |
月額費用 | 無料 | $9 | $49 | $249 |
手数料 | 3% | 2% | 1% | 0.5% |
メリット
- 無料プランがある(但し手数料3%)
- 英語での情報がある程度多い
Bold Subscriptions
海外をメインに様々なShopifyアプリを開発しているBoldが提供するサブスクリプションアプリです。
但し、現在のVersion2では、英語での設定しか出来ないので、日本のユーザーには不向きです。
利用料
プランは1種類のみしかありません。
CORE | |
月額費用 | $49.99 |
手数料 | 1% |
メリット
- 英語での情報がかなり多い
- 実績が豊富
ReCharge Subscriptions
Boldと並んで有名なのがこのアプリです。Proプランにすることで機能が豊富に使えるようになるため、拡張性が高いのですが、こちらも同じく英語での対応が必要となります。
利用料
プランは2種類あり、手数料が少しだけ複雑になっています。
STANDARD | PRO | |
月額費用 | $60 | $300 |
手数料 | 1% + 1件5¢ | 1% + 1件19¢ |
メリット
- Proプランにすると拡張性が高くなる
- 英語での実績や情報が豊富
サブスクリプション(定期購入)アプリ比較
現時点でのいくつかの機能的な差はありつつも、現時点で選ぶのであれば、定期購買アプリ一択になるかと思います。
定期購入 | PayWhirl Recurring Payments | Bold Subscriptions | Subscriptions by ReCharge | |
日本語対応 | ◎ | × | × | × |
利用料 | ◎ ※2021/5/5現在無料 | 〇 | △ | × |
拡張性 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
日々サイト改善をしながら、通販サイトを運営していくにあたって、コア機能である定期購入アプリの日本語でのサポート対応があるかどうかは一番気を付けるべきポイントでもあります。
英語でのリファレンスを読むことが長けている方や、管理画面などが英語でもお客様や管理者の方が問題なく操作できるようであれば、日本においても海外製アプリの利用を検討しても良いかと思います。
Shopifyで定期購入(サブスクリプション)モデルの成功事例
さて、ここでは、Shopifyでサブスクリプションモデルを導入し、成功している事例についてご紹介していきたいと思います。
BASE FOOD<完全栄養食の宅配サービス>
画像引用:完全食 BASE FOOD
完全栄養食のジャンルで業界のリーディングカンパニーとして活動されているBASE FOOD(ベースフード)。
Shopifyで定期購入の仕組みを導入されており、「BASE BREAD」や「BASE PASTA」を販売しています。
煎茶堂東京 <新しい日本茶のスタイル>
画像引用:煎茶堂東京
カジュアルな日本茶を提供されているのが、煎茶堂東京(センチャドウトウキョウ)。
コーヒーや紅茶などと同様に産地や加工の違いを楽しめるように煎茶の違いを楽しんでもらいたいということで活動されています。
実際に銀座に店舗を持っていますが、オンラインでは、お茶のサブスクリプションサービスを提供しています。
定期購入では、月ごとに替わる日本茶を届けつつ、更に魅力を伝えるために情報誌などを同梱する事で、味と共にその世界観なども伝えられています。
【まとめ】Shopifyでサブスクリプション(定期購入)を導入するために
Shopifyでサブスクリプションを導入するにあたっての手順は、大きく2つです。
- サブスクのモデルを検討する
- 自社にあったアプリを選定する
サブスクのモデルを検討しよう
あなたがこれから作ろうとしているサブスクリプションモデルは、どんな特徴があるのでしょうか。
以下の項目などを参考にどんなモデルになるかを検討しましょう。
- どんな商品を(単品なのか組み合わせなのか月替わりなのか)
- どれくらいの頻度で(ユーザーはどれくらいで商品を消費しますか)
- どういった方法で届け(商品が届くシーンも演出を忘れずに)
- 他社との差別化は何でしょうか(単品ではない理由は何でしょうか)
自社モデルにあったアプリを検討しよう
先ほどに検討したサブスクモデルを実現するにあたって、必要な機能などを考えていきます。
その上で、アプリの導入が前提になってくるので、以下の項目についても考えていきましょう。
- 英語のリファレンスを読むことを容易に行えるエンジニアがいるか
- 英語でのコミュニケーションが得意なエンジニアがいるか
- ショップ側の設定が英語でも問題なく出来る運営スタッフがいるか
オススメNo.1は、「定期購買」
Shopify Magazineの読者のほとんどの方が日本人を対象にした、店舗を運営されているのではないでしょうか?
そんな読者の方々には、日本語対応がされていつつ、アプリ導入で悩みやすいポイントをカバーしてくれる丁寧なカスタマーサポートがある「定期購買」がおすすめです。
またインストールだけでなく、会員ランク機能やマイページ機能も充実しているので、LTV(Life Time Value)もしっかりアップさせることが出来ます。
また、Shopify公式から届く「Shopifyストア開設ガイド」でも、定期購買は日本で人気のアプリとして紹介されています。
自社のECサイトでサブスクを実施の際はぜひ「定期購買」をご利用ください!
インストールはこちら
https://apps.shopify.com/huckleberry-subscription?locale=ja
また、定期購買アプリは他サブスクアプリから顧客情報を移行することも可能です。
詳しくはこちら
移行機能について気になる方はこちら(subscription-cs@huckleberry-inc.com)までご連絡ください。
是非、ご自身にあったサブスクリプション(定期購入)アプリを見つけてくださいね。