ECシステムとは?
ECサイトを構築・運営するためのシステム
ECシステムは、サイト上で電子商取引(Eコマース)を行うための基盤となるシステムのことを指します。
ECシステムによって構築されたサイトは、一般的に「ECサイト」と呼ばれています。
ECサイトはユーザーが商品を選び、カートに入れ、購入するといった一連の流れをオンライン上で行うことが可能になっています。
商品を購入するユーザーの行動を支え、商品情報の管理から決済、販売後のフォローまでを一元的に行うことができるのがECシステムの役割といえます。
ECシステムの仕組み
ECサイトを構成するシステムは、大きく分けて5つの機能に分かれます。
- 商品の管理に関する機能
- 注文・決済機能
- デザイン・編集機能
- 販促・マーケティング機能
- 分析機能
ここでは5つのシステムについて、簡潔に機能の詳細を解説します。
商品の管理に関する機能
商品情報を管理するための機能です。
具体的には、商品の登録、価格設定、在庫管理、カテゴリ管理などを行うことができます。
注文・決済機能
ユーザーが商品を購入し、決済するための機能です。
カート機能や注文情報の管理、支払い方法の選択、クレジットカード情報のセキュリティ保護などが含まれます。
ほかにも、注文確認メールの自動送信や、購入後の口コミやレビュー投稿機能もECサイトを運営するうえでは重要になります。
デザイン・編集機能
ECサイトのデザインやレイアウトを設計するための機能です。
トップページや商品ページのテンプレートをはじめ、バナーやメニューの配置、色使いやフォントの選択などが可能です。
また、ユーザビリティを考慮したレイアウト設定や、HTML・CSSの編集機能があれば自分好みにカスタマイズすることもできます。
販促・マーケティング機能
商品の売り上げを増やすためのマーケティング施策を強化するための機能です。
SEO対策やSNS連携・広告配信のサポート機能など、Web上で販促宣伝を行うにあたっては不可欠でしょう。
分析機能
ECサイトの運営状況を分析し、改善策を考えるための機能です。
訪問者数や売上高、商品の閲覧数やカート放棄率など、多様なデータを収集・分析することが可能になります。
分析したデータは、サイトの改善点や新たな販売戦略を立てるのに役立つでしょう。
ECサイトを開発・構築するシステムを比較!
ECサイトは、さまざまな機能を組み合わせることで商品の購買ができるように構成されています。
ただ、ECサイトを構築するにあたっては機能1つ1つを導入するのではなく、あらかじめEC機能が備わったサービスやシステムを使います。
ここからは、ECサイトを構築するためのシステム(型)についてそれぞれ解説します。
ASP型
ASPは「Application Service Provider」の略称で、クラウド上でECサイトを構築して運営する仕組みのことを指します。
ECサイトを運営するうえで必要な機能がひととおり揃った状態から利用できるので、誰でも簡単に運用しやすい点が大きな特徴といえるでしょう。
ASP型で提供されている構築サービスは「ASPカート」とも呼ばれ、ASPカートを使ってECサイトをすぐに構築できるという流れになっています。
- ASP型のメリット
- 初心者でも簡単にECサイトを構築しやすい
- ひととおりの機能がそろっている
- ASP型のデメリット
- 決まったテーマしか選べず、デザインの自由度に限りがあることが多い
ショッピングモール型
モール型ECサイトは、複数の事業者(店)が集まって商品を出品する仕組みのこと。
楽天市場やAmazon・Yahoo!ショッピングなどといったショッピングサイトに自分の商品を出品することを言います。
ECサイトをいちから構築しなくても、既存のサイトにお店を出すだけで販売できる点が大きなメリット。
機能がそろっているのはもちろん、一定の集客力を持ったサイトに出店できるので認知されやすい点も魅力の1つでしょう。
- ショッピングモール型のメリット
- 大手通販サイトの中にお店を出せるから認知してもらいやすい
- いちから構築しなくてもすぐに商品を出せる
- ショッピングモール型のデメリット
- 競合のお店が多くなり、差別化の施策が必要になる
- 通販サイトの名前が大きく、自分のお店で買ったと認識してもらえないおそれがある
パッケージ型
パッケージは、ECサイトを構築するために必要な機能がまとめられたソフトウェアです。
機能がまとまっている点はASPと変わりませんが、パッケージを利用する場合はソフトウェアを購入し、自社のサーバーにインストールする必要があります。ソフトウェアさえインストールできればカスタマイズは自由なので、デザインや機能の柔軟性は高いと言えるでしょう。
費用がASPと比べて高く、規模の大きいECサイトを構築する場合に向いています。
- パッケージ型のメリット
- デザインや機能を自由自在にカスタマイズできる
- サポートやコンサルティングサービスが充実している
- パッケージ型のデメリット
- 構築にはサーバーと開発スキルが必要
- 初心者には難しく、中規模以上のECサイト構築向きになりやすい
オープンソース型
オープンソース型は、あらかじめ公開されている構築システムを利用してECサイトを立ち上げるという方法のこと。
オープンソースでECサイトを構築するには技術的な知識が必要になり、とくに初心者にとっては難しいかもしれません。
また、ソースコードをインストールするには自社サーバーが必要で、サーバーを作るには有料である場合がほとんどです。
そのため、オープンソースでECサイトを構築する場合はあくまでインストールが無料ととらえておくのが良いでしょう。
- オープンソース型のメリット
- 無料で使えるものが多く、初期費用を抑えながらECサイトが構築できる
- デザインや機能を自由自在にカスタマイズできる
- オープンソース型のデメリット
- インストールは無料だが、サーバーを有料で用意する必要があるなど、運用コストがかかる
- HTMLやCSS、PHPなど、開発に関する技術的知識がないと構築が難しい
フルスクラッチ型
フルスクラッチは、自社の要望に完全に合わせてECサイトを開発する方法です。
完全にオリジナルのECサイトを作成できますが、開発には時間とコストがかかります。また、保守・運用も自社で行う必要があります。
ECシステム構築におすすめのツール4選!
ECシステムの構築におすすめのツールをご紹介します。
なるべく手間をかけずにECサイトを立ち上げたい場合は、あらかじめEC運営に必要なシステムが備わったASP型ツール(カート)を使うのがおすすめ!
ある程度規模の大きいECサイトを運営する場合は、コンサルティングが充実したパッケージ型を使ってみるのが良いでしょう。
Shopify
Shopifyはこんな人におすすめ!
- なるべく自分好みのECサイトをデザインしたい人
- 使える機能が豊富な構築サービスを探している人
- 多くの商品や商品画像を登録したい人
Shopifyは、世界170か国以上で利用されている最大規模のASPカートです。
テーマやテンプレートが豊富なほか、HTML・CSSの編集もできるので、ASPカートの中でもカスタマイズ性が豊富な点が魅力となっています。
機能のカスタマイズ性も高いので、初心者はもちろん、規模の大きいECサイトを構築する人にもおすすめのECサイト構築サービスといえるでしょう。
システムの種類 | ASP型 |
最安の料金プラン | 33ドル/月(※日本円で約4,600円。2023年6月現在) 最初の3ヶ月間は1ドル |
初期費用 | 無料 |
手数料 | 3.25%〜 |
商品の登録可能数 | 無制限 |
商品画像の登録可能枚数(無料) | 250枚 |
HTML/CSS編集 | ○ |
レスポンシブ対応 | ○ |
サポート体制 | ○ |
BASE
BASEはこんな人におすすめ!
- ゼロからECサイトを作ろうと考えている初心者の人
- 初期費用をなるべくかけずにECサイトを構築したい人
- SNS連携が充実したところがいいという人
BASEは、BASE株式会社が運営するASPカートです。
決済方法が豊富である点や、Instagramなど外部連携機能も充実しており、すべて無料で構築できるという点が大きなメリットの1つ。
初期費用・月額料金無料というプランがあり、実際に購入が発生した場合にのみ手数料が発生するという仕組みになっています。
初めてECサイトを構築しようと考えている人や、なるべく初期費用を抑えたいという人にはおすすめです。
システムの種類 | ASP型 |
初期費用・月額料金 | 無料 |
手数料 | 決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3% |
商品の登録可能数 | 上限なし |
商品画像の登録可能枚数(無料) | 20枚/1商品 |
HTML/CSS編集 | ○ |
レスポンシブ対応 | ○ |
サポート体制 | ○ |
カラーミーショップ
カラーミーショップはこんな人におすすめ!
- 規模が大きくなっても使える構築サービスを選びたい人
- カスタマイズ性が高いASPが良い人
- 賞を目指すことでモチベーションが上げたい人
カラーミーショップは、GMOペパボが運営するECサイト構築サービスです。
販売手数料がかからず機能も充実しているので、規模が大きくなっても安心して使い続けられるでしょう。
また、年に1回、優れたショップを表彰する「カラーミーショップ大賞」も行われているので、より良いサイトにしようというモチベーションも上げることができます。
ECサイトを運営するのが初めてで、ひととおりの機能を使いたい人や、使い続けられるサービスを使いたい人にはおすすめです!
システムの種類 | ASP型 |
初期費用・月額料金 | 無料 |
手数料 | 6.6%+33円(税込) |
商品の登録可能数 | 上限なし |
商品画像の登録可能枚数(無料) | 4枚/1商品 |
HTML/CSS編集 | ○ |
レスポンシブ対応 | ○ |
サポート体制 | ○ |
ec-being
ecbeingはこんな人におすすめ!
- 開発面でサポートを受けつついちからECサイトを立ち上げたい企業
- 構築だけでなく集客のサポートも受けたい人
ecbeingは、サポート体制が充実したパッケージ型ECサイト構築サービスの1つです。
とくに開発とマーケティングのサポートがきめ細かく、ECサイトの構築はもちろん、運営や集客面までも手厚く支援してくれるのが大きな特徴の1つ。
中堅規模から大規模なECサイトまで、およそ1,500サイト近くのECサイト構築実績があるので、さまざまなノウハウを吸収することもできます。
自分でやるというよりは、二人三脚で好みのECサイトを作り上げていくというサービスといえるのではないでしょうか。
EC事業の展開を考えている企業向けのサービスで、料金はサイトの規模などに応じて相談しながら決めていく方式のようです。
システムの種類 | パッケージ型 |
初期費用・月額料金 | サイトの規模ごとに変動 |
自分に合った方法でECシステムを構築してみよう!
個人や企業・ECサイトの規模によっておすすめの構築サービスは大きく異なります。
初心者にとってはASP型がおすすめで、ある程度リソースを持っている企業ならばパッケージ型が合うかもしれません。
ぜひ自分に合ったECサイト構築サービスを見つけて、使いやすく売上アップが見込めるECサイトを立ち上げてみてくださいね!