ECサイト構築の費用相場は?制作方法や費用内訳もあわせて徹底解説

ECサイトを構築しようと思った時に、どの程度の費用を用意すればいいのか、費用相場を知りたい方は多いのではないでしょうか。相場がわかりにくく、混乱しがちなECサイト費用相場や構築方法をわかりやすく整理してお伝えします。

費用相場の情報と合わせて以下を解説します。

  • ECサイト構築方法
  • 予算に合った構築方法の選定
  • 費用の見積もりを出す時に押さえておきたいポイント

ECサイトの構築をこれから考えており、費用面など情報を精査したいという方はぜひご一読ください。

ECサイト構築の費用相場は?

ECサイト構築の費用相場は下記のように大きく違いがあります。

構築方法 費用
ECモール 〜10万円
ASP 〜100万円
オープンソース 10万円〜
クラウドEC 100万円〜
ECパッケージ 100万円〜
フルスクラッチ 500万円〜

ECサイトの構築方法と年商規模に合わせた選び方

ECサイトの主な構築方法は5つあります。

  1. ECモール
  2. ASP
  3. オープンソース
  4. クラウドEC
  5. ECパッケージ
  6. フルスクラッチ

構築方法を選ぶ場合、年商規模が重要になります。各構築方法を解説しながら、どの方法がどのくらいの年商規模のECサイト向きか合わせて解説します。

ただ、年商規模はあくまでひとつの基準です。年商の他にも、予算、機能面、セキュリティやサポートの体制、ビジネスの事業計画など、検討すべき要素がたくさんあり、それらを含め総合的に判断する必要があります。

【年商別でおすすめのECサイト構築方法】

年商 構築方法 費用 開発期間
〜100万円 ECモール 〜10万円 数日
100万円〜1億円 ASP 〜100万円 数日〜数週間
1億円〜30億円 オープンソース

クラウドEC

ECパッケージ

10万円〜

100万円〜

数週間〜数ヶ月
30億円以上 フルスクラッチ 500万円〜 半年以上

 

1.ECモール

ECモールとは、Amazonや楽天市場などの既存のECモールに出店もしくは出品する方法です。

既存のモールには、カートや決済機能が搭載されているため、登録すれば比較的すぐに運営を開始できます。

また、元々モールが持っている集客力も活用できるメリットがあります。

デメリットとしてはカスタマイズの幅が狭いことと、売上に応じた手数料が取られる点です。

年商が100万円未満でECビジネスを始めたい場合はECモールの利用をおすすめします。

売上の手数料はかかりますが、初期費用がかからずスタートできます。販売が軌道に乗るまで、まずはECモールを活用し、ある程度軌道に乗った後に、自社ECの構築を行いましょう。

2.ASP

ASPは「BASE」や「STORES」などで代表される、クラウド上のシステムを利用した構築方法です。

初期費用や月額費用を無料で利用できるサービスがあったり、有料のものでも比較的費用を低く抑えることができます。テンプレートの用意もあるため、構築に関する専門知識も不要です。

デメリットとしては、ECサイトのカスタマイズの幅はそこまで広くはなく、ECモールほどではないですが、自由度は低い点です。

年商100万円〜1億円の場合に向いている方法です。

スモールスタート向きで、販売が軌道に乗ってきたら、オープンソースやクラウドEC、ECパッケージに移行することを考えましょう。

3.オープンソース

オープンソースは、WordPressのような無償で公開されているソフトウェアを利用する構築方法です。

拡張性が高く、コストも比較的安く抑えられ、自由度の高いECサイト構築ができます。オープンソースの特徴として、ソースコードが無償で公開されており、インストールや運営時の料金がかかりません。

ただ、開発・運営のための人件費が必要になり、外注して構築する場合は費用がかかります。

有料ではないため、セキュリティの脆弱性やサポートが不十分という点、大量の取引に対応できないデメリットがあります。

年商1億円〜30億円の場合で、特に費用をある程度抑えたい方に向いている方法です。

4.クラウドEC

クラウドECは、クラウド上にあるECプラットフォームを活用し構築する方法です。

システムやセキュリティのアップデートが自動で行われるため、システム・セキュリティ共に最新の状態が保たれます。データやシステムの管理についても、クラウド上で管理が行えるので、自社インフラが不要です。

また、カスタマイズ性も高く、自由度の高いECサイト構築が可能です。タイムセールなど、アクセスが集中するような場合も、一時的にサーバーのスペックを上げ、サーバー落ち対策を行うことが可能です。

しかし、ソースコードは非開示のため、社内での保守管理ができません。「自社でECサイトを保守管理、メンテナンスを行いたい」、「ソースコードは把握しておきたい」と考えている場合は不向きです。

年商1億円〜30億円の場合に向いている構築方法です。

5.ECパッケージ

ECパッケージは、ECサイトに必要な機能が一通りそろったパッケージソフトを利用して、構築する方法です。

高いカスタマイズ性をもち、大規模なECサイト構築に向いており、パッケージを提供する会社の保守サービスやサポートを受けることができます。

ただ、システムの最新性を保つためのアップデートを定期的に行う必要があり、費用がかかる場合があります。

年商1億円〜30億円の場合に向いている構築方法です。

6.フルスクラッチ

0から完全オリジナルのシステム構築を行う方法をフルスクラッチと言います。

システムやプログラムを0から制作するため、最も自由にカスタマイズができ、自社にぴったり合うECサイトの構築が可能です。

その分、コストが非常に高くなり、制作時間も長くなります。

独自に構築を行うため、エラーなど不具合も起こりやすい傾向があります。ECサイト構築に関する深い知識を要するため、ECサイトを主要事業として本格的な運用を行う方向きです。

年商30億円以上の場合に向いている構築方法です。

費用に応じたECサイト構築方法

ECサイト構築費用は、構築方法やどんな機能を搭載するかで大きく変わります。

ここからは相場に応じて、スモールスタートの構築にしたいのか、本格的なECサイトを立ち上げたいのかなど、それぞれのECサイト構築の目的に合う価格帯と構築方法をまとめました。

目的 相場 構築方法 依頼先 開発期間
費用を最小限に抑えたECサイト構築 無料〜10万円 ECモール

ASP

サービスを使用して自作 1週間〜1ヶ月
低コストでの独自のECサイト構築 10万〜100万円 ASP

オープンソース

制作会社(中小規模) 1ヶ月〜2ヶ月
デザイン・機能ともにオリジナリティのあるECサイトの構築 100万円〜500万円 オープンソース

クラウドEC

ECパッケージ

制作会社(中小規模) 2ヶ月〜5ヶ月
自社ビジネスに合わせた本格的なECサイト構築 500万円以上 オープンソース

クラウドEC

ECパッケージ

フルスクラッチ

制作会社(大手・中小規模) 4ヶ月〜

 

無料〜10万円

とにかく、予算をかけないでECサイトを構築したい場合の相場です。

ECモールやASPサービスを利用し、自分でECサイトを作ります。

商品写真や説明文を用意し、あらかじめ用意されたテンプレートを活用すれば、短い期間でECサイトを立ち上げることができます。

初期費用は抑えられますが、販売手数料がかかってしまうデメリットがあります。

10万円〜100万円

デザインなどにあまりこだわりがなく、なるべく低コストで独自のECサイトを構築したい場合の相場です。

10万円までの相場と同じく、商品写真や説明文を用意する必要があります。各ASPのデザインプレートや、オープンソースを活用しての制作になります。高度なカスタマイズを望むのは、この相場では厳しいと考えてください。

100万円〜500万円

オープンソース、クラウドEC、ECパッケージを活用してECサイトを構築します。

オリジナルのデザインや、業務に合った機能の用意ができる、しっかりしたECサイトを制作する場合の相場です。

費用の金額によりますが、制作側に商品写真や説明文を用意してもらえたり、デザインや機能追加など、業務に合わせてのカスタマイズもさまざまな対応が可能になります。

500万円以上

500万円以上の場合はオープンソース、クラウドEC、ECパッケージを活用、もしくはフルスクラッチでのサイト構築になります。

ビジネスに合わせて機能やデザインを追加したり、自社のシステムとの連携など、より高度なカスタマイズが実現する相場になります。

100万円〜500万円の相場よりもさらに高いカスタマイズ性があります。本格的なEC運営におすすめの方法です。また、ECサイトオープン後のサポートも充実していることが多くあります。

フルスクラッチに関しては費用が数千万円と高額になることがあります。

ECサイト構築費用の見積もりで押さえておきたいポイント

ECサイトの構築を制作会社に依頼する場合、いくつか抑えておくべき内容があります。

  • 複数の制作会社の見積もりを取る
  • 見積に大きく影響する項目を把握する
  • 見積金額が適正か注意が必要
  • セキュリティ機能や運用後のサポートを確認する

大きく4つのポイントにまとめました。順を追って解説します。

複数の制作会社の見積もりを取る

制作会社に依頼を行う場合は必ず複数の見積もりを取りましょう。

1社だけで決めてしまうと、サービス内容、料金、追加可能な機能やECサイトオープン後のサポートなどの比較ができません。

また制作会社によって、強みも違いますし、同じ料金でも、用意できる機能に差が出ることも考えられます。

また、複数の見積もりを取っておくと、費用や条件交渉の際に役に立つ可能性もあります。

 

おすすめのECサイト制作会社はこちらの記事をチェック!

「システム幹事」などの開発の代理店を利用する

システム幹事

ご自身で開発会社を相見積もりを取って決めるのももちろん良いですが、構築会社を探すサイトを利用するのもおすすめです!

「システム幹事」では専門のコンサルタントが要件を丁寧にヒアリングを行い、相場を抑えながら自社に最適な制作会社を紹介していただくことができます。

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見積に大きく影響する項目を把握する

見積もりを依頼する際、費用を大きく左右する項目があります。

  • 決済機能
  • 物流
  • 集客方法
  • ささげ業務
  • リニューアル

決済機能

まずは決済機能。決済機能はECサイトの要のひとつで、とても重要な機能です。決済方法を多く採用すれば、その分だけ費用は上がります。

ただ、ユーザーの利便性に直結する機能です。希望する決済方法がない場合、ユーザーの購入機会を失う可能性が大いにあります。

節約は考えず、決済方法はしっかり用意しましょう。

物流

ECサイトでユーザーが何かを購入した場合、当然商品を配送しなければなりません。在庫管理から配送までの物流業務を自社で行うか、委託するのかで費用は大きく変化します。

ただ物流業務にはさまざまな作業工程があります。効率的に時間と人員を使いたい場合、委託するのも1つの選択肢になります。

集客方法

オープンして間もないECサイトで、特に課題になりやすいのが集客です。

  • SEO対策
  • SNS
  • Web広告
  • インフルエンサーマーケティング

これらの集客方法を効率的に行う必要があります。集客業務を依頼したい場合は、色々な会社に依頼するより1つの会社にまとめて依頼することをおすすめします。集客を請け負ってくれたり、広告代理店と連携している制作会社を選ぶのも良いでしょう。

ささげ業務

商品画像やサイズ・材質などの情報、説明文の原稿制作など商品掲載時に発生する業務を「ささげ業務」と言います。

これらを自社で行うか、制作会社に依頼するかでも金額は変わります。ささげ業務は行わない制作会社もあるため、会社を選ぶ際には注意が必要です。

リニューアル

スタート時は取り扱い商品や売上が多くなかったとしても、時間と共にビジネス規模が拡大すれば、リニューアルを考える必要性が出てくる可能性があります。拡大したビジネスに見合う機能やサービスが必要になり、とくにスモールスタートの場合はASPからECパッケージというような移行が必要になることがあります。

また、時間が経つとトレンドも変化します。その際にトレンドに合ったリニューアルが必要になるケースもあります。もちろんこういったリニューアルにもコストが発生します。

見積金額が適正か注意が必要

制作会社に構築を依頼する場合、費用が適正なものか判断する必要があります。

そのまま鵜呑みにはせず、内訳のひとつひとつの費用の根拠を確認するようにしましょう。担当者の対応の仕方でも、その会社が信用できるか確認できます。

制作会社が依頼内容を把握しきれておらず、最低限の費用での見積もりを出している場合もあります。すり合わせを行うと、見積もりと全く違う金額になるといったケースが発生することも考えられるので、実現したい内容や機能は詳細に提示しましょう。

セキュリティや運用時のサポートを確認する

セキュリティや運用時のサポートについても確認しましょう。

立ち上げたばかりのECサイトはエラーやバグなどトラブルが発生しがちです。そのサポートが見積もりに含まれるのか、別途費用が発生するのかはっきりさせておかないと、いざトラブルが発生した時に、想定外の費用が発生してしまう可能性があります。

また、セキュリティ機能についてもしっかり確認しておきましょう。

セキュリティ面のトラブルで、不正ログインや情報漏洩が発生する可能性があります。情報漏洩等が発生してしまうと信用失墜につながります。

トラブルを防ぐためにも、セキュリティは継続してアップデートを行う必要があります。

サイト構築後のアフターサポートとしてセキュリティや運用時のサポートも含めて見積もりを出してもらうことをおすすめします。

ECサイト構築費用に活用できる補助金制度

ECサイト構築には、どうしても費用がかかります。費用が原因で、ECサイト開設が難しい場合、補助金制度を利用する方法がおすすめです。

補助金種類 最大額 補助率
IT導入補助金 450万円 最大1/2
事業再構築補助金 1.5億円 2/3〜1/2
小規模事業者持続化補助金 200万円 1/4

上記表の3つがECサイト構築でよく使われる主な補助金制度です。いずれも申請に条件があり、補助金交付のための審査があります。

公募要領をしっかり確認してから申請しましょう。

ECサイト構築の費用相場は構築方法や運用方法で大きく変わる!

ここまで、ECサイト構築の費用相場を、構築方法や依頼時の注意点などと共に解説してきました。

ECサイトの構築費用は、構築方法によって無料から数千万円と非常に大きく変わります。制作会社に依頼する場合は、複数社の見積もりを取り、必要と考える機能などと照らし合わせてから選ぶようにしましょう。

あまり費用が多く用意できない場合は補助金制度を利用する方法もありますし、ECモールやASPであれば比較的費用を抑えてスタートできます。

構築したECサイトが良いスタートを切れるように、予算や事業計画、セキュリティ、サポート体制なども考慮に入れ、多角的に検討してみてください。