2026年6月17日(日本時間18日)に「Shopify Editions 26年春」が公開されました。今回で9回目となるプロダクトアップデートで、「Everywhere」をテーマに150以上のアップデートが発表されました。
昨年12月の Editions に続く流れで、今回もAI x ECの融合をテーマにした「エージェンティックコマース」に焦点が当たっています。Agentic Storefronts(AI販売チャネル管理機能)の実装や、Sidekickの進化、標準プランでのBtoBの開放、Campaign Autopilotによるマーケティングの自動化・効率化など注目すべき進化が目白押しです。
前回のこちらの記事では、テーマ「Everywhere」を中心としたShopifyの思想や全体像を考察しましたが、本記事では、数あるアップデートの中から、越境およびB2Bのアップデートをピックアップして解説します。
【Shopify Editions 26春:関連記事はこちら】
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標準プランでも利用可能になった「Shopify B2B」
B2B機能の進化における一番の目玉です。
2026年4月から、これまでShopify Plusの事業者向けに提供していたB2B機能の一部が、Basic、Grow、Advancedプランでも追加費用なしで利用可能になりました。これにより、Shopifyという単一のプラットフォーム上でB2B(卸売)とB2C(直販)を一元管理できるようになりました。
標準プランでは、法人顧客ごとの価格設定や専用カタログの作成、数量ルールの設定など、卸売に必要な機能を利用できます。ただし、利用できるカタログは最大3つまでとなっているため、顧客グループごとに細かく価格体系を分けたい事業者にとっては制約となる場合があります。一方で、中小規模のBtoB事業者にとっては十分実用的な内容といえるでしょう。
これまでShopifyで本格的なBtoB ECを構築するには、Shopify Plusへのアップグレードが事実上必須でした。しかし今回の変更により、Basic、Grow、Advancedプランでも追加費用なしでBtoB販売を始められるようになりました。国内メーカーや卸事業者にとっては、BtoCとBtoBを単一の管理画面で運用できる選択肢が現実的になったことは、今回のEditionsを象徴するアップデートの一つといえるでしょう。
Shopify公式ヘルプ – プラン別の Shopify B2B 機能
https://help.shopify.com/ja/manual/b2b/getting-started/plan-features
Shopify、B2B機能の提供対象を拡大 | Shopify Japan 株式会社のプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000034630.html
越境に関する機能アップデートまとめ
今回のEditionsでは、AIやエージェンティックコマースに関連する機能のリリースが多く、越境に関してのアップデートはそこまで多くありません。また、新機能であってもアメリカやヨーロッパでのローンチが中心であったりと、日本のEC事業者にとってすぐに活用できる機能は少なかったです。そんな中でも、いくつか越境に関する注目のアップデートをまとめました。
【Markets管理画面の改善】
国・地域ごとの設定状況が確認しやすくなり、価格設定やドメイン、言語、在庫などの管理性が向上しました。
【Managed Marketsの機能拡充】
関税計算や輸入手続き、配送関連のサポート機能が継続的に強化されています。ただし、現時点では主に北米向けのサービスとなっており、日本の事業者は利用できません。
【複数事業体(Multi-Entity)への対応強化】
複数の法人や拠点を保有する企業が、国ごとに異なる事業体で販売・請求を行いやすくなりました。グローバル展開を進める大規模事業者にとって利便性が向上しています。
【Shopify Paymentsの対応地域拡大】
Shopify Paymentsの利用可能国が増加しており、新規参入市場での決済導入が進めやすくなりました。
全体として見ると、今回のEditionsにおける越境関連のアップデートは、大きな新機能の追加というよりも、既存機能の磨き込みや対応範囲の拡大が中心でした。日本の事業者がすぐに恩恵を受けられる内容は限定的ですが、Shopifyがこの先も越境販売のハードルを下げようとしている姿勢を感じられるアップデートだったといえるでしょう。
まとめ
今回のEditionsを見ると、ShopifyはAIを軸にコマースの未来像を描く一方で、B2Bや越境販売といった既存領域についても着実に機能を拡充していることが分かります。
特に注目したいのは、B2B機能の一部が標準プランでも利用可能になったことです。これまでShopify Plusへの移行が前提だったBtoB ECが、より低コストで始められるようになったことは、日本のメーカーや卸事業者にとって大きな変化といえるでしょう。
一方で、越境関連のアップデートは既存機能の改善や対応範囲の拡大が中心で、日本の事業者がすぐに恩恵を受けられる内容は限定的でした。しかし、MarketsやMulti-Entityの強化を見ると、Shopifyがグローバルコマースの基盤整備を継続して進めていることは間違いありません。今後の展開次第では、日本の事業者にとっても越境販売へのハードルがさらに下がっていくことが期待されます。