ECサイトを構築して自社商品の販路拡大を検討中のあなた。補助金があることはご存知ですね。この記事では
- ECサイト関連の補助金にどのようなものがあるか
- IT導入補助金に関する徹底解説
- 申請方法や補助金活用の注意点
などをご紹介します。
IT導入補助金の概要や貴社に使えそうな補助金の内容を把握して、資金補助を有効活用しましょう。
ECサイト構築に使える補助金とは?
ECサイト構築に使える補助金はいくつかあります。この記事では下記の4つの補助金について詳しく紹介します。
- IT導入補助金
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
- 小規模事業者持続化補助金
- 各自治体が提供する補助金
補助金にはいろいろあると知っていても、どれが自分の会社が申請できる補助金なのかわかりにくいですね。貴社の課題解決に最適な補助金を検討し、ECサイト構築に挑戦し、販路拡大を目指しましょう。
「IT導入補助金」とは
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者に向けた補助金の一つです。
「令和4年度第二次補正サービス等生産性向上IT導入支援事業」として独立行政法人中小企業基盤整備機構によって採択された中小企業庁の監督のもとに運営されている補助金事業です。
労働生産性の向上を目的としたITツールの導入を支援してくれ、例えば下記のような事に使えます。
- 業務自動化・効率化
- 労働時間短縮・省人化
- 管理強化
- 販路拡大 ←ECサイト構築による販路拡大が狙えます!
業務効率化・DX(デジタルトランスフォーメーション)などに向けてITツールを導入したいとお考えの方にはぜひチェックしてほしい補助金です。
IT導入補助金の4つの枠と型/いくらまで補助される?
IT導入補助金は「枠・類型」が分かれています。分類が複雑ですが、ECサイトに関連する補助は「デジタル化基盤導入枠」です。最大350万円の補助が受けられます。
補助額、補助率、対象経費により枠・類型が分類されるため、申請にあたっては導入するITツール(ソフトウェア、アプリ、サービス等)がどの枠・類型にあたるのか確認する必要があります。
枠・類型、補助額などについてまとめた一覧表も合わせてご覧ください。
「デジタル化基盤導入枠」では、補助率2/3以内で最大350万円が補助額です。対象となる経費には以下のものがあります。
- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料(最大2年分)
- ハードウェア購入費
- 導入関連費
個人事業主は応募できる?IT導入補助金の応募条件
IT導入補助金は、個人事業主でも応募できる場合があります。まず、IT導入補助金には以下の応募資格が定められています。
- 中小企業・小規模事業者等であること
- 日本国内で法人登記されていること
- 申請者が営む事業場内最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上(枠による)
このうち、「小規模事業者等であること」に当てはまる条件は以下です。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):常勤の従業員が5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常勤の従業員が20人以下
- 製造業そのほか:常勤の従業員が20人以下
なお、応募資格を満たす「中小企業」の定義は以下です。
資本金か従業員の人数のどちらか一方が、下記の数字より少ない場合に補助の対象となり、個人事業を含みます。
※「資本金」は資本の額または出資総額
資本金と従業員の人数
- 製造業、建設業、運輸業:資本金3億円、常勤の従業員が300人
- 卸売業:資本金1億円、常勤の従業員が100人
- サービス業(ソフトウエア業、情報処理サービス業、旅館業を除く):資本金5,000万円、常勤の従業員が100人
- 小売業:資本金5,000万円、常勤の従業員が50人
- ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業・工業用ベルト製造業を除く):資本金3億円、常勤の従業員が900人
- ソフトウエア業または情報処理サービス業:資本金3億円、常勤の従業員が300人
- 旅館業:資本金5,000万円、常勤の従業員が200人
- 上記以外のその他の業種:資本金3億円、常勤の従業員が300人
(その他の法人)
- 医療法人、社会福祉法人、学校法人:常勤の従業員が300人
- 商工会・都道府県商工会連合会および商工会議所:常勤の従業員が100人
- 中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体:常勤の従業員が主たる業種に記載の従業員規模
- 特別の法律によって設立された組合またはその連合会:常勤の従業員が主たる業種に記載の従業員規模
- 財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益):常勤の従業員が主たる業種に記載の従業員規模
- 特定非営利活動法人:常勤の従業員が主たる業種に記載の従業員規模
貴社は応募資格を満たしているでしょうか?IT導入補助金が使えそうであれば詳細を確認いただき、応募資格を満たさない場合でも、諦めないでください。個人事業主向けの補助金は他にもあります。この記事で紹介する他の補助金もチェックしてみてください。
IT導入補助金の申請、受け取りの方法
IT導入補助金では、補助を受けるみなさんの全体のフローは下記のように進みます。
申請、受け取りの流れ
ITツールを選択するなどの事前の準備をする
リサーチやIT導入支援事業者からの提案を受けるなどして、補助金申請するITツールを何にするのか、選んでおく必要があります。
申請する
IT事業者との計画を詰めて、事業計画書をつくります。必要書類の準備が整ったら、「申請マイページ」から必要情報を入力し、書類を添付して申請します。
補助を受ける事業を実施する(=ECサイトを構築する)
審査に合格して採択されると、事務局から交付決定通知が届きますので実際に事業を進めていきます。
事業実績を報告する
事業が完了したら、各種証憑を申請マイページから提出します。(発注書、契約書、納品書、支払いに関する請求書・領収書など)
さらにIT事業者と共に事業実績報告書を作成して、事務局へ提出します。
補助金交付の手続きをする
報告が完了したら、事務局が審査をおこないますので、審査完了にて補助金が交付されることとなります。
事業実施効果を報告する
補助金の交付を受けた後は、事務局が指定する効果報告期間内に、申請マイページから事業実施効果の報告をします。
IT導入補助金の申請前に準備しておくこと
申請の際に、事前にやっておかねばならないいくつかの準備があります。
- 「gBizIDプライム」(gビズIDプライム)のアカウントを取得
- SECURITY ACTION(セキュリティアクション)を実施
- 「みらデジポータル」での「経営チェック」を実施
経営チェックは申請要件になっているため、必ずおこないましょう。日頃の課題を見つめるいい機会にもなります。
その上で必要書類の準備に取り掛かりますが、法人と個人事業主では必要書類が異なります。申請する枠・類型の交付規程について資料をダウンロードしましょう。
申請に必要な「gBizIDプライム」アカウント取得までに1週間ほどかかる場合があるため、申請締切まで余裕を持って準備をスタートさせるようにしましょう。
IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)の今後の締切は以下にてご確認ください。
7次締切分 2023年8月28日 (月曜) 17時
~12次締切分 2023年11月13日 (月曜) 17時
IT導入補助金の詳しいスケジュールはこちら
「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」とは
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金とは、中小企業・小規模事業者等に向けた以下のための設備投資等を支援する補助金です。
- 革新的サービス開発
- 試作品開発
- 生産プロセスの改善
ものづくり補助金には通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠、グローバル市場開拓枠という5つの枠がありますが、ECサイト関連の申請は「通常枠」となります。
補助率は1/2もしくは小規模・再生事業者で2/3、上限額が750万円〜1,250万円です。
採択の倍率は締切区分によりますが、全体として2〜3倍で推移しています。
中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業」による補助金で、事務局は全国中小企業団体中央会で管理・運用されています。
「ものづくり補助金」と略されることが多いため、ECサイト構築とイメージが直結しない方も多いようですが、ECサイト関連の採択事例があります。
採択事例
過去に採択された事業名(採択一覧より一部抜粋)
- サブスクリプション型ECサイトによる販売への事業転換
- オーダーメイド・ジュエリーを非対面販売するためのECサイト開発
- 訪日外国人へ向けた災害対策アニメーション専用ECサイトシステム構築とインバウンド対応力強化事業
- 江戸の伝統工芸を世界へ!オーダーメイド可能なECサイトの立ち上げ
- 越境ECサイト運営代行サービスによる、日本製品の海外展開支援
- 体験型と提案型の複合機能を備えた眼鏡ECサイトの開発・提供
2023年8月現在、第16次締切分の要綱が発表されており、申請締切日は2023年11月7日の17時です。(概要版はこちら)
「小規模事業者持続化補助金」とは
「小規模事業者持続化補助金」とは、小規模事業者を対象として生産性向上の取組を支援する補助金で、全国商工会連合会が運営しています。小規模事業者持続化補助金は、「持続化補助金」とも略されます。
特徴として、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で販路開拓などを目指した計画を対象に、販路開拓に必要な経費を一部補助します。
通常枠、賃金引上げ枠、卒業枠、後援者支援枠、創業枠という5つの枠があり、通常枠の補助率は2/3、上限は50万円です。
ECサイト構築に関する補助対象経費科目は「ウェブサイト関連費」
ウェブサイトやECサイト等の開発、構築、更新、改修、運用に係る経費を補助してもらえますが、注意点があります。ECサイト構築=ウェブサイト関連費は申請額の1/4が上限であり、通常枠の場合は12.5万円が最大補助額です。さらに、ウェブサイト関連費のみでは申請できないため、広告費(新たなサービスを紹介する媒体作成等)など関連するものと組み合わせて申請する必要があります。
補助金の対象者
補助金の対象者は以下に該当する法人、個人事業、特定非営利活動法人が含まれます。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) :常時使用する従業員の数が5人以下
- 宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数が20人以下
- 製造業その他:常時使用する従業員の数が20人以下
申請方法は電子申請と郵送どちらも可能
電子申請をする際にはIT導入補助金と同じくgBizIDプライムのアカウント取得が必要であり、アカウント取得に1週間程度かかる場合がありますのでお早めの取得をおすすめします。
より詳しい解説(持続化補助金ガイドブック)はこちら
持続化補助金のスケジュール
持続化補助金は2023年8月現在、第13回締切分の要項が公開されており、締切は2023年9月7日(木)です。
電子申請は23:59まで受け付けられ、郵送の場合は当日消印有効です。
詳しいスケジュールなど公募要項はこちら
各自治体が提供する補助金の例
自治体ごとに補助金を設定している場合もあります。
IT補助金などに比べ規模は小さくなりますが、より地域密着の色合いが濃くなりますので、貴社の地元で補助金募集があれば、採択される可能性は高まります。
東京都
東京都…商店街デジタル化推進事業
商店街のデジタル化推進のための事業に9/10(限度額1,000万円)を補助します。
対象:東京都内の商店街、商店街連合会、商工会、商工会連合会、商工会議所の事業(商店街ECサイトの構築など)
宮崎県
越境ECサイト構築・越境ECモール出店などのために、費用の1/2(限度額50万円)を補助します。
対象:宮崎県内に本店や主たる事業所を持つ事業者による事業(個人事業主を含む)
秋田県三郷町
秋田県美郷町…美郷町インターネット販売販路開拓支援事業補助金
町産品の販路拡大などのために、インターネット販売システムの解説にかかる委託費の2/3(限度額20万円)を補助します。
対象:町内の中小企業または個人事業主のインターネット環境整備(ECサイト構築など)
大阪府茨木市
大阪府茨木市…茨木市ECサイト活用等支援補助金
インターネットを活用した国内外への販路拡大を目指すための事業に2/3(限度額20万円)を補助します。
対象:茨木市内の中小企業者及び個人事業主によるECサイト構築の委託費など
都道府県が主導する補助金もあれば、市町村といった単位で主導しているものもあります。競争率が高く、審査が厳格な大規模な補助金事業に比べるとより身近な補助金がおすすめの場合もあります。あなたの事業の本店・主たる事業所のある都道府県・市町村で募集している補助金はないか、一度チェックしてみるのもおすすめです。
【2023年】まだ間に合う!ECサイト構築に使える補助金
2023年度も既に数ヶ月が過ぎてしまいましたが、まだ申請に間に合う補助金があります。
前述してきた補助金も、第〇次募集、追加募集といった形で何度も募集されているものもありますので、「申請期間に間に合わなかった!」と諦めずに締切を再確認してはいかがでしょうか。
各補助金の申請時期一覧
2023年8月現在で申請が間に合う補助金の締切例をご紹介します。
IT導入補助金
IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)…7次締切分 2023年8月28日 (月曜) 17時
以降、○次締切分としてそれぞれの締切が設定されており、2023年8月現在で12次締切分 (2023年11月13日 (月曜) 17時)まで設定されています。
詳しいスケジュールはこちら
ものづくり補助金
ものづくり補助金…第16次締切分 令和5年11月7日(火) 17時
詳しいスケジュールなど公募要領はこちら
持続化補助金
持続化補助金…第13回締切分 2023年9月7日(木)
※電子申請は23:59まで。郵送の場合は当日消印有効
詳しいスケジュールなど公募要項はこちら
これから申請する際には、事業実施対象期間や事業の終了時期に注意する必要があります。申請の他にも、ECサイト構築には業者とのやりとり、出品商品の選定などといった手間暇が意外とかかります。時間や費用を見積もって、期間に合った補助を申請しましょう。
補助金申請・活用の際の注意点
貴社に使えそうな補助金は見つかりましたか?補助金申請・活用の際にはいくつかの注意すべきポイントがあります。有効活用するために、注意したいポイントを以下にてご紹介します。
まずは自社の経営課題・ITニーズを確認する
なによりもまず、ECサイトを構築することが貴社の経営において重要であること、インターネットを活用した販路拡大といったITニーズがもともとあることが前提です。
「補助金があるらしいから、ECサイトを作ろう」では順序が逆であり、本当にECサイトが必要で、ECサイトによって経営にプラスになる場合には補助金が有効です。
IT導入補助金では、事前に「みらデジ経営チェック」を実施する必要があり、ITツール選定の前に「みらデジ」にて取り組むべき経営課題を把握する、というプロセスがあります。面倒だと思われるかもしれませんが、補助を受けるため、かつ、経営について見直す良い機会だと思って前向きに手順を踏むのもよいかもしれません。
余裕を持って申請準備をする
申請には一定の準備が必要で、そもそもアカウントの取得に時間がかかったり、思ったように進まず時間がかかってしまうなど、場合によっては手続きを煩雑に感じることがあります。直接お金が絡む補助金事業は、念には念をといった審査が行われるため、求められる提出書類も山ほどあります。書類を揃えるのに時間がかかってしまうことが考えられますので、必要な手順と書類をよく確認したうえで、余裕を持って申請の準備に取り掛かりましょう。
採択事例も公開されている場合が多いため、採択一覧を見て目指している事業と似たような事業名を探してみるのもイメージが湧いてくるかもしれません。
補助金は後払い!資金繰りに注意する
ほとんどの補助金は後払いです。事業報告をして、各種証憑を提出し、運営側の審査を経てお金が振り込まれるまで、時間がかかります。ECサイト構築にかかる費用をいったんは手出しする必要がありますので、資金繰りに注意して万全を期して交付を受けましょう。
リニューアルや越境ECにも適用される?
IT導入補助金は、リニューアルや越境ECにも利用できます。
既にECサイトは持っていて、新しくするために補助金を使いたい!という場合もあるでしょうし、越境ECサイトにも利用できるか気になる場合もあるかもしれません。
サイトリニューアルと越境ECが対象の補助金
ECサイトのリニューアル目的では、IT導入補助金は利用できません。ただし、ものづくり補助金・持続化補助金では適用の場合もありますし、自治体が運営する補助金にはサイトリニューアルが対象のものも多くあります。
越境ECについては、ご紹介した補助金のうち「IT導入補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」はいずれも越境ECが対象の補助金です。
細かい条件が付随する場合がありますので、応募の際は条件をよくご確認ください。
補助金を有効活用してECサイトを構築しよう
IT導入補助金(ECサイト構築はデジタル化基盤導入枠)をはじめとするECサイト関連の補助金について解説しました。
補助金自体は制度が複雑ですが、ポイントはシンプルです。
- 貴社の課題に合った補助金を申請する
- 申請準備~最後に交付を受けるまで、余裕を持つ
ぜひ、補助金を活用してECサイトを構築し、販路拡大を目指しましょう。
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